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【正論】杏林大学名誉教授・田久保忠衛 脅威迫る中、また「米軍帰れ」か

 ←「習近平守護霊の霊言」2010年10月21日 →カーチス教授「TPPは成功しない」

【正論】杏林大学名誉教授・田久保忠衛 脅威迫る中、また「米軍帰れ」か
産経新聞転載                                              

2010.11.26 02:17
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101126/plc1011260218001-n1.htm 
 

奇怪と表現するほかなく、関心を持つ外国人に求められて
すんなり説明できる日本人は多くあるまい。28日に行わ
れる沖縄県知事選の2候補者、仲井真弘多、伊波洋一両氏
とも米軍普天間飛行場移設先は「県外」と主張している。

 

 ◆知事選公約の「県外」は偽善

 与党の民主党は、賢明でない指導者が「国外・県外」
とわめいて引き起こした狂躁(きょうそう)の後、
日米合意の「県内」に戻したのだから、どの候補者も支持
できない。自民党は、仲井真支持なのだろうが、「県外」
の看板が目障りで、大っぴらに神輿(みこし)を担ぐ
わけにいかない。「県外」が可能だなどと思っている沖縄県民
はいないだろう。嘘(うそ)と偽善が渦巻く中で、どのような
審判が下るのだろうか。

 判断の基準は一つだと思う。仲井真候補は日米同盟を
認めているが、伊波候補は「軍事同盟である日米安保条約
をなくす」(11月14日付琉球新報)と明言している。
昨年11月10日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で
記者会見した際、嘉手納、辺野古など沖縄の基地だけでなく
韓国、グアムの反基地運動と連帯、自ら活動をしている、
と強調していた。日本にユーラシア大陸からの有形、
無形の脅威が迫り来る中で、沖縄県民は
「ヤンキー・ゴーホーム」を呼び続ける道を選ぶのであろうか。

 私には、復帰直前の沖縄で1年強、取材活動に没頭、
数カ月、東京に滞在した後、ワシントンで4年ほど
国際ニュースを扱った経験がある。珍しいことではないが、
那覇、東京、ワシントンの視点の相違を身に染みて感じた

東京がワシントンの言動に神経質になるように、那覇の
関心は専ら東京に向けられている。当然ながらワシントン
が主として観察しているところは東京でも那覇でもない。

 那覇が東京に対応する際に、薩摩による「琉球征伐」や
廃藩置県の沖縄県設置がヤマトンチュー(大和人)に
よって強制されたとの潜在意識が存在する。日米戦争末期
における県民の多大な被害は日本軍が駐留したせいだとの、
日本人として理解し難い歴史観は、沖縄県平和資料館に
足を運べば分かる。国土のわずか0・6%の県に
在日米軍基地の74%が集中しているとの指摘は常になされる。

 

那覇=被害者の構図根強く

 それは分かるが、日本全体の安全保障上重要な「負担」
をしてもらっていることを口に出さなくとも国民全体が
心から理解するとの阿吽(あうん)の呼吸は消え去り、
いつの間にか東京が加害者で那覇は被害者という構図が
つくられた。基地絡みで東京の困る問題は大きく取り
上げられ、そのたびに東京の政治家は財政措置で当座を
切り抜けようとする型がいつの間にか形成され、そこに
諸々の利権が絡む。

 他の府県では当世、流行(はや)らなくなった
非武装中立論がこの県で生きているのは、伊波候補の言動
でも明らかだ。琉球独立論者だった画家、評論家の
故山里永吉氏は復帰前の沖縄に林立する赤旗や肩で風を
切って歩いていた赤鉢巻を痛罵(つうば)していたが、
その彼でも16世紀初頭における尚真王の刀狩りを
「王は平和国家としての琉球を宣言し、武器撤廃、
戦争放棄を宣言した」(『沖縄歴史物語』)と胸を張っていた。
私も親交があったので、よく分かるが、被害者の心理と
無関係ではないのである。

 

以来、地元2紙を読み続けているが、非武装中立論に
基づく社論、論評は全く変わっていない。国際情勢が
どう動こうと、これでは沖縄県は全く別の世界だ。
永田町のお偉方の中にも国際的な方向音痴は少なくないが、
尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の衝撃は、国民の大方に
戦後の憲法体制への疑問を生んでいるのではないか。
傍若無人に周辺国家を脅かす中国に対し、米国を中心に
インド、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国連合
(ASEAN)諸国などが警戒感を一斉に抱き始めた潮流
には国民の方が敏感だと思う。

 

◆沖縄栄えて日本滅ぶでは…

 国際環境の激変を沖縄はどう見ているのか。
尖閣事件直後の9月9日付沖縄タイムス紙社説は
「中国漁船の日本領海での操業と、中国海軍の活発な活動を
結びつけて中国に対する警戒感をかき立てるようなことが
あってはならない」と書いた。
事件前の7月21日付琉球新報社説は「中国脅威論大いに疑問」
の見出しがついていた。

 

中国の温家宝首相がニューヨークで中国漁船船長の
即時釈放を要求する演説をぶった9月21日に米掃海艇
「ディフェンダー」が宮古島の平良港に入港した。
何と、沖縄県と宮古島は外務省を通じて米軍に自粛を求め、
市民30人ほどが反対デモをしたのである。10月26日付
沖縄タイムス「論壇」には、日本国が衰亡して中国が台頭
することを歓迎するかのような一文が登場した。

「沖縄栄えて、日本滅ぶ」でいいのだろうか。

 

 沖縄にも大局に立った正論の士が少なからず存在するのは
承知している。その真実の声にたがをはめ、東京と那覇に
問題を矮小(わいしょう)化させてきた現地マスコミの罪
は小さくない。知事選の結果は、日米関係はもちろん、
アジアにおける力の均衡も変える意味を持つ。(たくぼ ただえ)

 

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